企業が身辺調査を行う理由
企業は身辺調査を行っている
大企業はもちろんのこと、中小企業、さらには個人経営の事業主などは、雇い入れたいと思う人物がいた場合に身辺調査を依頼することがよくあります。
企業が雇い入れる前にその人物についての身元を調査するのは、本人を信じていないと錯覚してしまう行為であり、雇われる側としてはある種、腹が立つことなのかもしれません。
しかしながら企業としては、雇い入れた従業員がもしかすると社会的な道徳観念や常識を持ち合わせていないとしたら、会社全体の信用に関わる問題が起こるおそれがあります。
一人の従業員のせいで会社の信用が失墜することを避けるためには、身辺調査はやむを得ないという場合もあるという、雇い主側の考えも理解できるところです。
全ての従業員を身辺調査するわけではない
大企業ともなると、雇用している社員はかなりの人数になることから、全員の身辺調査を行うというわけではありません。
雇用したいとは思うものの、やはり身辺調査を行う必要があると考えるに至るだけの、何らかの理由があると言って良いでしょう。
会社側が考える理由のひとつには配属先があります。
会社の機密情報に携わる部署や金銭を管理する部署に配属する場合です。
機密保持が徹底できる人物であるとか、金銭を搾取するような人物でないという裏付けを取るために身辺調査を実施するのです。
確かに生活振りに派手であったり、多額の借金があった場合、いつ会社に対して背信行為をするかもしれません。
実際に会社の顧客情報や新製品情報などの機密情報を漏洩し社会問題となったケースもあるのです。
また配属先ばかりではありません。
取締役や管理職など重要なポストに昇進される際にも身辺調査を実施する企業は少なくありません。
もし私生活の部分でも公序良俗に反する様な、それこそ不倫などが認められ、公然となったら株主総会において叩かれたり、それこそ企業の信用も失墜させてしまう可能性もあるから事前に調査をするのです。
また企業としては、新卒者がソーシャルネットワーキングサービスをどの程度利用しており、どんな内容の書き込みをしているかなどをチェックするよう依頼するケースが増えています。
新卒者はこれから社会人として働くことになる人物ですので、まだまだ学生気分の甘い考え方をしている可能性が高いと考え、これまでの言動がどうだったかを確認するために身辺調査を行っているのです。
転職希望者にも身辺調査を行う理由
さらに、有能な転職希望者が転職希望として求人に応募してきた場合にも、中途採用者の身辺調査を行っています。
企業としては魅力ある人材と感じるだけに、以前に勤めていた会社でも有能だと思われていたはずが、なぜ転職する気になったのかが気になるからです。
本人から転職希望の経緯を聞くのはもちろんですが、その一方で以前勤めていた会社で何かあったのかを、興信所や探偵社に調べてもらいます。
その結果、会社にいられなくなって退職したといったことがわかった場合には、事前に不採用とすることができ、自社での不祥事を防ぐことにつながるからです。
企業はシビアに身辺調査を捉えている
ソーシャルネットワーキングサービスでの言動や、勤めていた会社で何があったかを調べてもらうだけでなく、企業が探偵社や興信所に身辺調査を依頼する内容はほかにもあります。
それが、人となりという言葉で表現される素行です。
これは、近所の人などに直接聞き、近所の人には挨拶もしないとか、生活全般に派手さがあるとかといった具合に、いわゆる素行が悪いといった性格的な部分を知るには、子どものころからよく知っている人や今現在せいかつしている近辺から情報を聞くのが手っ取り早いからです。
大人になるにつれて性格や考え方は変わっていくものですが、そうしたきっかけがなく、性格がそのままだった場合、先生や上司の前では真面目なふりをし、そうした人たちがいないところではガラリと人が変わるという人間であることがしばしばです。
こうした人材を企業内に入れないよう、身辺調査を行うのですから、雇用する方も大変と言えます。